伝わる文にする
市役所の窓口で、一枚の案内文が配られている。去年、全部書き直されたものである。文字の数は前の半分ほどになった。
前の文にはこうあった。「本申請は受理後十四日以内、すなわち翌月十日までに処理されます。」担当の西村さんは言う。「意味は正確です。ですが、読む人には届いていませんでした。」
書き直しの作業で最初に決めたのは、一文を短くすることだった。次に、難しい言葉のあとに言いかえを足すこと。「すなわち」や「つまり」は、そのために使う。
ただし、言いかえを足せば足すほどよいわけではない。「二回言いかえると、どれが本当の意味か分からなくなります」と西村さん。今は一つの文に一回まで、と決めている。
書き直したあと、窓口での質問が三割減った。「減った質問の分だけ、ほかの相談に時間を使えます。」待ち時間も短くなったという。
正確に書くことと、伝わるように書くこと。この二つは同じではない。すなわち、役所の文章にはまだ直す余地があるということである。
すなわち
意味
前に言ったことを、よりはっきりした言い方で言い直す接続詞。前と後ろは同じものを指していなければならない。
A connective that restates what came before in clearer or more exact terms. Both halves must name the same thing, so it defines rather than adds. Written style; conversation uses tsumari.
接続
文、すなわち 文。
名詞、すなわち 名詞
話し言葉は「つまり」
× 新しい情報を足す使い方
例文
締め切りは月末、すなわち三十一日です。
The deadline is the end of the month, that is, the thirty-first.
彼は父の兄、すなわち私のおじにあたる。
He is my father’s older brother, that is, my uncle.
人口の三分の一、すなわち約二千万人が都市に住む。
A third of the population, namely about twenty million people, lives in cities.
本申請は十四日以内、すなわち翌月十日までに処理される。
The application is processed within fourteen days, that is, by the tenth of the following month.
ポイント:「つまり」より硬く、定義や言いかえに使う。契約書や報告書でよく見かけるが、使いすぎると反対に分かりにくくなる。
読解問題
1. 前の案内文について、西村さんはどう言っているか。
2. 「受理後十四日以内、すなわち翌月十日まで」の「すなわち」の働きは何か。
3. 書き直しで最初に決めたことは何か。
4. 言いかえについて、今はどんな決まりがあるか。
5. この文章で筆者が言いたいことは何か。
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