商店街の明かり
駅の北口を出ると、細い通りが三百メートルほど続いている。五十年前に建てられた商店街である。昼間でもシャッターの下りた店が目立ち、通る人の数も年ごとに減りつつある。
青果店の松本さんは、この通りで四十年働いてきた。「昔は夕方になると歩けないくらいでした」と笑う。しかし今、店の前を通るのは買い物客より、駅へ急ぐ会社員のほうが多い。
変化の理由は一つではない。郊外に大きなスーパーができたこと、店主の高齢化が進んでいること、そして買い物の方法そのものが変わりつつあること。松本さんの店でも、注文の三割はスマートフォンから届くようになった。
それでも、通りが静かに消えていくのを待っているわけではない。三年前、空いた店舗に若い夫婦がパン屋を開いた。去年はその隣に小さな本屋ができた。数は少ないが、新しい店も増えつつあるのである。
商店街の会長は言う。「昔の形に戻すことは難しい。でも、別の形で人が集まる場所にはできると思っています。」月に一度の朝市には、近くの町からも人が来るようになった。
夜、閉まった店の前を歩くと、通りはたしかに暗い。しかし所々に、新しい店の明かりがついている。この通りは消えつつあるのか、それとも生まれ変わりつつあるのか。答えはまだ出ていない。
〜つつある
意味
動詞のます形につけて、「ゆっくりした変化が今も進んでいる」ことを表す。増える・減る・変わる・消えるなど、変化を表す動詞と一緒に使う。
Attaches to the masu-stem and says a slow change is under way right now. It needs a verb of change (increase, decrease, change, disappear) and does not work with one-off actions. Written, formal style.
接続
動詞ます形(ますを取る)+ つつある
増えます → 増えつつある / 減ります → 減りつつある
変わります → 変わりつつある / 回復します → 回復しつつある
× 一瞬の動作(立ち上がりつつある など)
例文
通る人の数は減りつつある。
The number of people passing through is gradually falling.
買い物の方法が変わりつつある。
The way people shop is changing.
新しい店も増えつつある。
New shops are gradually increasing too.
彼の体調は回復しつつある。
His condition is gradually recovering.
ポイント:「〜ている」は今の状態、「〜つつある」は変化の進み方そのものに目を向けた言い方。書き言葉・改まった場面で使われる。
読解問題
1. この通りの今の様子として、正しいものはどれか。
2. 松本さんの店の前を通るのは、主にどんな人か。
3. 変化の理由として本文に書かれていないものはどれか。
4. 新しい店について、正しいものはどれか。
5. この文章の書き方として、最も近いものはどれか。
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