遅刻の朝
火曜日の朝、川口さんは会社の入口で時計を見て青くなった。九時二十分。会議はもう始まっている時間だ。
エレベーターを降りると、部長が廊下に立っていた。「おはよう。どうした?」川口さんは頭を下げて言った。「申し訳ありません。電車が止まったものですから、途中から歩いてきました。」
部長はうなずいた。「事故だろう。ニュースで見たよ。連絡はくれたの?」川口さんは小さな声になった。「それが、携帯の電池が切れていたものですから…。」
会議室に入ると、五人がもう資料を開いていた。川口さんは入口で一度立ち止まり、「遅れて申し訳ありません」とだけ言って席についた。理由は後で話せばいい、と思ったからである。
会議のあと、同僚の林さんが小さな充電器を貸してくれた。「私も前に同じことがあったもんですから、一つ持ち歩いているんです。」川口さんは礼を言い、その日の帰りに自分の分も買った。
言いわけは少ないほうがいい。それでも、事情を伝えないままだと、相手は理由がわからない。大事なのは、まず謝ってから、短く事情を話すことなのだろう。
〜ものですから
意味
理由や事情を、ていねいに、少し言いわけの気持ちをこめて説明する。「から」よりやわらかく、相手にわかってほしいときに使う。
Gives a reason politely, with a note of apology, when you want the listener to understand or excuse something. Softer than kara; the second half is a statement, never an order or a request.
接続
動詞普通形 + ものですから
い形容詞 + ものですから
な形容詞な/名詞な + ものですから
会話では 〜もんですから/〜もんで
例文
電車が止まったものですから、歩いてきました。
The trains stopped, so I walked here.
子どもが小さいものですから、夜は出かけられません。
My child is small, so I cannot go out at night.
ここは不便なものですから、車が必要なんです。
This area is inconvenient, so a car is necessary.
初めてなものですから、少し緊張しています。
It is my first time, so I am a little nervous.
ポイント:後ろに「〜してください」などの依頼や命令は使わない。自分の事情を説明する言い方だから。
読解問題
1. 川口さんが遅れた理由は何か。
2. 連絡をしなかったのはなぜか。
3. 会議室で川口さんはどうしたか。
4. 林さんが充電器を貸したのはなぜか。
5. この文章の結びで述べられていることは何か。
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